生まれてからの世界線
私の周りにはアーティストしかいません。
もう断言できますこれは。アーティストしかいない世界線で生きています。
スーツ着てる人?いないですね。
自分の置かれている環境を疑問に思ったことがなかったんですけど、この世に生まれてからの環境がほぼアーティスト縛りです。
まず父。画家です。変わり者決定です。
画家の友達は、アーティストしかいません。カメラマン、パフォーマー、ダンサー、デザイナー、音楽家、裏方関係もたくさんいますが、みんなスーツを着ているような仕事ではないですね。
ということはですよ、もうそういう大人に囲まれて生きてきているので、まともなことを言ってくる人はいないんですよ。
普通に大学に行って、大手に就職しなさいなんて言ってくる人は皆無です。
父は私が幼い頃から、好きなことして楽しく生きた方がいいよ!とか言ってました。
小学生の時の授業参観に、アロハシャツにビーサン・サングラスで現れたのはこの人です。
夜な夜な我が家の床でバックギャモンをして、ガラムを吸いながら酒を飲んでいるような大人がたくさんいました。
食べていけたりいけなかったりする人たちは、自由だけどとにかく生きるのはしんどそうでしたね。
もちろん子供の頃はそんなの分からないんですけど、ある程度大人になってから見たり聞いたりしていると、やはりとても苦労しています。
自由と引き換えに好きなことをやっていたはずなのに、家族ができて現実に強制連行されて病んでる人をたくさん見てきました。
連行されても全力で逃げる人もいます。
もちろんそんな人ばかりではないです。
とても仕事ができて家族を大事にするアーティストももちろんいます。
突き抜けて変人の天才もいます。
変人なだけの人もいます。
私が好きなのは、とても仕事ができて家族を大事にするアーティストです。
食べていくのが大変でも、家族を一生懸命大事にしている人もいます。
そういう人も大好きです。
私が社会に出た先の環境もアーティストしかいない世界線だったので、もはや私の中ではこの種族が普通の基準なんですけど、こうなるとここ以外の世界では恐ろしくて生きていけないんですね。
あ、でも一人唯一貴重なスーツ着てる人が身近にいました。
兄です。私はしっかり順応しながら育ってきたんですけど、兄だけは違ったらしく、一般社会へと油のようにはねていきました。
ちなみに母は画家に捕まった運の悪い看護師なので、死ぬほど苦労してる分アーティスト全員我の敵みたいな人なんですけど、兄はこちらの遺伝子を強く引き継いでいるようです。
私の今いる場所は、たくさんのアーティストがいて、裏方さんがいて、みんないい人です。
尊敬する人しかいません。
みんな努力の塊で、常識的で、優しい。
そういう人たちしかいません。
そうじゃない人がいたら私が近付かないので、いないことになっています。
嫌いな人?それもいたら近付かないのでいないです。
私がフラフラしていることが、みんな心配なようです。
夢も希望も特に持ち合わせてない、今日と言うて明日のことくらいしか考えてない人間なんですけど、長年放置していた舵を少しずつ切っていこうと思っています。
ちなみに、裏方さんたちはアーティストじゃなくても、やっぱりこの種族の一員です。
アーティストは一人では生きていけないからです。